超音波エラストメトリによる肝臓の硬さの検査の再現性についての論文
さて、肝臓病を忘れているわけではありません。
肝臓病の患者さんにとって肝硬変になっているかどうか、肝臓が硬くなってきていないかは、大きな、深刻な心配事項です。
もちろん、肝臓に針を刺させて頂き、顕微鏡などで肝臓内の線維の様子を検討させていただく、肝生検が、現在でも一番確実な方法とされていますが、患者さんへの負担が大きく、危険も伴う方法です。私は大学卒業時から(学生の頃から)、患者さんに負担をかけずに肝臓の線維化がわかる検査がないか、作れないか、将来、新しい治療がということが見つかった時にも治療経過を検討させていただくのに、役立たせないか、が最大の関心事でした。
現在、血小板数、肝線維化マーカーなど随分と発達してきましたが、肝生検にはまだ、追いついていないのが、正直なところでしょうか?
現在、「超音波エラストメトリ」という方法が盛んに研究されています。超音波検査の機械のようなもので、肝臓の硬さを推測・測定する機械・検査方法です。
Clinical Gastroenterology and Hepatologyの2008年11月号にこの方の再現性(おおざっぱにいうと、ちゃんと硬さが測れる条件)に関する研究が掲載されておりました。ともすれば、良い結果のみ論文化されますが、フランス人の著者らは、良いところ、検査の限界などきちんと研究、発表されております。
結論としては、この検査は肝生検で針をさす部位で行うのが良く、全般的には、再現性は良いが、本当に硬い患者さんはきちんとわかるが、硬さの程度が軽いと検査する方(医師)によって、結果がばらばらになり易い、また、肥満のひとには向かないので、結果は注意して解釈すべきとのべておりました。
なかなか、難しいですね。(日本からもこの検査に関する、ご立派な研究はもちろん、あります)。
実は、勤務医時代、私も機械を1週間だけですが、借りたことがあります。印象としては、ほかの検査で、「硬いだろうな」と思う患者さんに「硬い」という結果はでましたが、中間の程度かなと思う患者さんには、それほど、助けとなる情報は得られないよう気がしました。(気がしただけで解析はしませんでしたが。)
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