四肢の脱力と労作時呼吸困難を主訴に受診した61歳女性
新着雑誌(日本医事新報No.4873)からの今日の勉強メモ
「四肢の脱力と労作時呼吸困難を主訴に受診した61歳女性」
- 3年前より緩徐進行性の四肢の脱力と労作時呼吸困難が出現。
- 長時間の歩行や重い調理器具を使う使うことが困難になった。
- 歩行開始時には下肢の脱力を自覚するが、しばらくすると改善する。
- 更に歩行すると労作時呼吸困難と膝折れが出現するため、10分以上の歩行困難。
- 同時期より唾液分泌低下と便秘を自覚。
このほか、身体所見、検査検査結果も記載がありますが、これだけだとうっかり、歳のせいにしてしまいそうです。
「歩行開始時には下肢の脱力を自覚するが、しばらくすると改善」する現象は
「促通現象」というそうで、追加の身体診察で、「大腿四頭筋の随意収縮後に、低下していた膝蓋腱反射の増強」がみられたそうで、この現象はLambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)に特徴的であるとのこと。唾液腺分泌低下と便秘もLEMSの自律神経障害に合致し、抗P/Q型抗体強陽性であったと。
Lambert-Eaton筋無力症候群(LEMS)
- 抗VGCC抗体に起因する神経筋接合部のチャネロパチー
- 61%に肺小細胞癌、8%にその他の癌合併、31%は非癌合併例
- 主症状:下肢優位の緩徐進行性の四肢近位筋の易疲労性と脱力
- 筋痛、眼瞼下垂、球麻痺、呼吸筋麻痺、自律神経症状、小脳失調などを伴うこともある
- 減弱した深部腱反射が回復する促通現象は本症に特異的な所見であるが、脱力の訴えに見合った筋萎縮を認めないため、心因性と誤診されがちである。
勉強になりました。
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