論文紹介:C型肝炎の抗ウイルス治療(日本消化器病学会英文誌から)
昨日、日本消化器病学会英文誌(Journal of Gastroenterology)が届きました。
3つの総説(ある話題に関するまとめの論文)が掲載されていましたが、ひとつは
「C型肝炎の抗ウイルス治療:過去、現在、未来」と題する大阪大学林紀夫教授らの論文でした。ほんの少し、御紹介を。
構成は次のようになっています。
- 抄録(論文全体の簡潔なまとめ)
- はじめに (Introduction)
- インターフェロン療法の導入 (Introduction of IFN therapy)
- インターフェロンに基づいた治療の進歩 (Progress of IFN-based therapy)
- ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の最近の進歩 (Recent developments in PEG-IFN and ribavirin therapy)
- 将来のC型肝炎の抗ウイルス療法 (Future antiviral therapy for hepatitis C)
読者の皆さんはご存知の内容とは思いますが、本日は抄録の概略の和訳を試みます。
- 「C型肝炎の抗ウイルス治療は1989年のC型肝炎ウイルスの発見と1990年代初頭のインターフェロン単独療法の導入によって大きく進歩した。現在標準とされる治療法はペグインターフェロン・リバビリン併用療法である。
- 治療期間と治療への反応はHCVの遺伝子型によって異なる。ジェノタイプ1の患者さんでは48週間の併用療法で50%の方にウイルス排除が可能となる一方、ジェノタイプ2の患者さんでは、24週間の併用療法で80-90%の方がウイルス排除を達成される。
- 治療早期のウイルス量の変動が治療の成功を予測する重要な指標となる。例えば、ジェノタイプ1の患者さんでは、治療開始後12週目のウイルス量が治療開始前と比べて、100分の1になるか、消失してしまった場合、治療が成功する可能性が高い。これに対し、ジェノタイプ2の患者さんでは、治療開始後4週目に血中ウイルスが消失した場合、24週間より短い治療期間でウイルスが持続的に消失する可能性がある。
- 予定期間中、治療が継続・完遂出来ることはウイルス排除が成功する重要な条件になる。赤血球、白血球増殖因子を使うと、インターフェロン治療に伴う血球減少を軽くし、治療の継続率が高まり、ウイルス排除がしやすくなる。(日本では保健適応はありません[早坂])
- ペグインターフェロン・リバビリン併用療法が無効な患者さんには酵素阻害剤のような新しいタイプの抗HCV薬が必要である。」
このような内容でした。今日はここまでとさせていただき、詳細は後日に御紹介いたします。
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