血清ビタミンB12濃度はC型慢性肝炎のインターフェロン・リバビリン療法の効果予測する
こんにちは、千葉県木更津市 肝臓専門医 早坂 章です。また、興味深い論文がJournal of Viral Hepatitisに掲載されていました。一つ前の英文記事の日本語版です。
血清ビタミンB12濃度はC型慢性肝炎に対するインターフェロン・リバビリン療法の治療効果を予測する。との論文で治療前にB12を多く服用するのは治療効果を上げるのでしょうか?
(Journal of Viral Hepatitis: Volume 18,Issue 2, pages 129-134 February 2011)
まとめを紹介させて頂きます。
研究背景と目的
ビタミンB12は肝細胞の中に貯蔵され、肝臓内のC型肝炎ウイルスのRNAの翻訳を阻害する。
抗ウイルス治療におけるのB12意味するところはまだ、知られていない。この研究は慢性C型肝炎患者さんの治療終了時の効果(ETR)を治療前の血清B12濃度が判別できるかどうかをレトロスペクティブに検討することが目的である。
患者さんと方法
99名の未治療のC型慢性肝炎患者さんで、インターフェロン・リバビリン併用療法を受けた方を対象とした。血清B12ha治療前の保存血清で解析した。単変量解析では治療前のB12濃度は治療終了時の効果ト相関した。
血清B12濃度と臨床データはロジスティクス回帰法で多変量解析した。
結果
- 治療前の血清B12濃度はETR患者さんで331pmで、効果のなかった患者さん(NR)では 260 pm であった。 (P< =0.012).
- 血清B12濃度が360 pm以下の患者さんでは, 23 名(31.5%)が NR で 50 名(68.5%)が ETRであった。
- 血清B12濃度が360 pm以上の患者さんでは、1名のみ (3.8%) が NRで、25名 (96.2%)が ETRであった。 (P =?0.0034).
多変量解析の結果は次のようであった。
- 治療前血清B12濃度 360以上 対360 pm以下: OR 28.6 CI 2.31-354, P = 0.008.
- 線維化の程度: 3-4 対 0-2: OR 0.29 CI 0.074-1.12, P = 0.068.
- 遺伝子型 2/3 対 1/4/5: OR 15.5 CI 2.87-83.9, P = 0.0012.
- インターフェロン減量 対 減量なし: OR 0.21, CI 0.048-0.91 P = 0.034.
- 従来型インターフェロン 対ペグインターフェロン: OR 0.079, CI 0.0091-0.68 P = 0.019.
- 年齢とと性別はETRとは相関しなかった。
- 治療前の血清B12濃度が 360 pm 以上であることはC型慢性肝炎患者さんのインターフェロン・リバビリン併用療法のETRに関して独立した相関因子である。
結論
これらのデータ解析はビタミンB12はC型慢性肝炎の抗ウイルス治療中のウイルス増殖の抑制に関わっていることを示唆した。
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