マイコプラズマ肺炎 今季は過去10年で最多の患者数
毎日新聞に、今年のマイコプラズマの大流行についての記事がでています。
http://ow.ly/3J19n
以下、引用です。
「◆マイコプラズマ肺炎 今季は過去10年で最多の患者数
◇風邪と区別つきにくい 潜伏期間は1~3週間、1カ月以上せきが続く場合も
国が約500カ所の基幹定点(内科と小児科を持つ病床数300床以上の医療機関)を対象に行っている調査で、今季のマイコプラズマ肺炎患者が過去10年間で最多となっている。
秋から冬にかけてが流行時期で、今季は昨年10月に入ってから報告数が急増。
今年1月9日までの15週間で報告数は4087人、昨年1年間の患者の報告数は1万333件で、いずれも過去10年間の同期比で最も多かった。患者の一部は重症化することがあるものの、多くは軽症で風邪と区別がつかず感染を広げる恐れがある。今季のピークは越えたとみられるが、依然として注意が必要で、専門家は早期の発見と治療を呼びかけている。
国立感染症研究所の谷口清州感染症情報センター第1室長によると、マイコプラズマ肺炎は細菌の肺炎マイコプラズマによる感染症。初期症状は、高熱が出やすいインフルエンザと違って熱が少しずつ高くなるほか、全身の倦怠(けんたい)感、頭痛など。2~3日後にたんを伴わない乾いた強いせきが出始める。せきは夜間に激しく出ることが多い。また、呼吸が苦しくなるぜんそくのような症状が約4割の患者にみられる。熱は数日で下がるが、せきはその後も数週間から1カ月以上続くことがある。
マイコプラズマ肺炎に感染しても、ほとんどが風邪と同じような症状や気管支炎などで済む。肺炎になるのは感染者の3~5%。5~35歳の年代層でかかる率が高く、特に幼児から小学生ぐらいの子どもが肺炎を起こしやすい。自然に治ることがほとんどだが、肺炎が重症化して肺に水がたまることも珍しくない。髄膜炎や中耳炎、脳炎、肝機能障害などの合併症を起こすこともある。感染すると抗体が作られるが、ほとんどが約1年でなくなってしまう。そのため、一生のうちに何度でも感染を繰り返す可能性がある。
従来、4年周期でオリンピックが開催される年に流行したため、「オリンピック病」とも呼ばれていた。近年はその傾向が崩れているが、谷口室長によると、ある程度の周期性はみられ、今回の流行も、それが一つの要因と考えられるという。なぜ周期性があるのかは分かっていない。
飛沫(ひまつ)感染で、潜伏期間は1~5日程度のインフルエンザよりも長く1~3週間だ。日本医科大呼吸ケアクリニック(東京都千代田区)の木田厚瑞(こうずい)所長は「この潜伏期間の長さが感染を広げやすくする」と指摘する。
今月上旬、同クリニックを30代の男性が受診した。「とにかく体がだるく、38度を超える熱があり、せきが続いている」と症状を訴えた。胸部レントゲン写真や血液検査から、木田所長はマイコプラズマ肺炎と診断した。よく聞いてみると、男性は「昨年末ごろ、会社に同じような症状の同僚がいた」と話したという。
木田所長は「インフルエンザのように感染後に周囲の人間が次々と発症するなら異常に気づくが、普通の風邪と考えて治療をせず、どんどん感染を広げてしまうことがある」と指摘し、「せきがでる時はマスクをし、2週間以上続くようなら、市販のせき止め薬などを飲んで放っておいたりせず、医療機関を受診して治療した方がよい」と話す。
マイコプラズマ肺炎の治療にはマクロライド系の抗菌薬が有効だ。細胞壁を持たない特殊な細菌が原因のため、細胞壁の合成を妨げて細胞の増殖を阻む肺炎球菌の抗菌薬は効果がない。
特別な予防方法はなく、谷口室長は「他の感染症と同様に、うがいと手洗いをきちんとすること。患者と濃厚な接触を避けること」を挙げる。インフルエンザのように一気に全国的な大流行が起こるという形ではなく、家族や学校などの小さな集団で発生するため、木田所長は「その地域で流行しているかどうかを把握し、注意することが大切」と助言する。【藤野基文】 」
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