平成22年C型肝炎治療ガイドラインの一部

2017年1月27日日記

あなたの肝臓をもっと健康に!  Better Your Liver!
千葉県木更津市の肝臓専門医   早坂 章です
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3月4日の夜の講演会では、前回、書かせていただいたように、熊田博光先生は、非常に多岐にわたる内容の講演をしてくださいました。根拠となるデータを提示されてから、新しい平成22年C型肝炎ガイドラインについて御話ししてくださいました。

今日は、一部を紹介させていただきます。

平成22年のC型慢性肝炎に対する初回治療ガイドライン

1. ジェノタイプ 1 高ウイルス量(5.0 Log IU/mL、300 fmol/L、1 Meq/mL 以上)
ペグイントロン+レベトール(48-72週間)
ペガシス+コペガス      (48-72週間)
フェロン+レベトール     (48-72週間)

2. ジェノタイプ 1 低ウイルス量(5.0 Log IU/mL、300 fmol/L、1 Meq/mL 未満)
インターフェロン        (24週間)
ペガシス              (24-48週間)

3. ジェノタイプ 2 高ウイルス量(5.0 Log IU/mL、300 fmol/L、1 Meq/mL 以上)
ペグイントロン+レベトール(48-72週間)
フェロン+レベトール     (48-72週間)

4. ジェノタイプ 2 低ウイルス量(5.0 Log IU/mL、300 fmol/L、1 Meq/mL 未満)
インターフェロン (8-24週間)
ペガシス       (24-48週間)

平成22年のC型慢性肝炎に対する再治療ガイドライン

C型慢性肝炎に対するIFNの再治療は初回治療での無効の要因を検討し、治癒目的の治療か、進展予防(発癌予防)を目指したALT値とAFP値の正常化あるいは安定化のための治療法を選択すべきである。

1.  初回1型高ウイルス量症例でIFN再燃・無効例への再投与はIFN+Ribavirin併用療法48週間―72週間投与が、治療の基本である。

2.  初回1型高ウイルス量症例でIFN+Ribavirin併用療法(治療後36週までにHCV-RNA陰性化例)への再投与はIFN(αまたはβ)-IFN+Ribavirin併用療法72週間投与が望ましい。

3.  初回低ウイルス量症例でIFN再燃・無効例への再投与はIFN+Ribavirin併用療法が治療の基本である。

4.  うつ病、うつ状態などIFNαが不適応および、PEG-IFNα+RBV併用療法でうつ状態が出現した症例に対してはIFNβ+RBV併用療法を選択する。

5.  Ribavirin併用療法を行う場合には治療効果に寄与するホスト側の因子である、年齢、性別、肝疾患進行度、IL-28のSNPおよび、ウイルス側の因子である遺伝子(Core領域70、91の置換、ISDR変異)、Real time PCR法によるウイルス量などを参考にし、治療法を選択することが望ましい。

平成22年のC型 慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足-1)

C型慢性肝炎に対する治療の中止基準

PEG-IFNα+Ribavirin併用療法を行っても投与開始12週後にHCV RNA量が前置の1/100以下に低下がなくHCV RNAが陽性(Real time PCR法)で、36週までに陰性化がなく、かつALT・ASTが正常化しない症例は36週で治癒目的の治療は中止する。

平成22年のC型慢性肝炎の治療(ガイドラインの補足-2)

1.  1型高ウイルス症例へのPEG-IFNα+Ribavirin併用療法の投与期間延長(72週間投与)の基準:投与開始12週後にHCV RNA量が前置の1/100 以下に低下するが、HCV RNAが陽性(Real time PCR法)で、36週までに陰性化した症例ではプラス24週(トータル72週間)に投与期間を延長する。(尚、50歳以上の女性、血小板が13万以下の症例、または肝生検でF3の症例では投与9週目以降にHCV RNAが陰性化した症例では72週間投与も考慮する)

2.  1型高ウイルス症例へのPEG-IFNα+Ribavirin併用療法で、投与開始36週後にHCVRNAが陽性(Real time PCR法)でもALT値が正常化例は、48週まで継続治療を行い、治療終了後の長期ALT値正常化維持を目指す。

3.  PEG-IFNα+Ribavirin非適応例・無反応例に対するIFN単独長期療法は、最初の2週間は通常量の連日または週3回間歇投与とし、最大8週間でHCVRNAが陰性化しない症例は通常量の半分量を長期投与する。