肝臓学会参加2日目:リアルタイムPCR法、B型慢性肝炎

2017年1月27日日記

神戸は朝から雨でした。

まず、8時からのブレックファーストセミナーでリアルタイムPCR法という昨日書かせていただいた高感度なウイルス定量法の導入により、日常臨床がどのように変わりそうかという講演2題を聞きました。

まず、武蔵野日赤の泉先生がC型慢性肝炎治療に関連してお話されました。この検査法はHCVの遺伝子型で定量性に差のないこと、10の1乗から10の8乗まで、リニアでかつ、ばらつきの少ないことなどを確認された後、Peg-IFN/Rib治療中のモニター、治療開始後のSVR(確実なウイルス駆除)予測への応用についてまとめられました。

単純化すると、従来法でHCRNA陰性だとしても、新しい高感度法で陽性だと、治療終了後、ウイルスの再増殖がみられるので、新しい方法で、治療開始後、いつウイルス陰性化するかによって、治療期間の長さの判断や治療中止などの判断をするのが、良いそうです。12月か来年1月には検査が保険適応になる見込みだそうです。
(先日同様、治療開始後、4wで陰性化すれば、まず、治るそうです。)

B型慢性肝炎についてはラミブジン(ゼフィックス)中止時期の目安にこの新しい方法含め、諸検査がどのように使えるかのお話が名古屋市立大学の田中先生からありました。C型肝炎と同じく、B型慢性肝炎でもPCR法で2.6未満でも新法でウイルスが定量されるそうですが、この方法で6ヶ月以上陰性なら中止後の再燃がなさそうだとのことでした。また、田中先生方の御研究されているHBcrAgという検査の値も重要であると報告されておりました。従来のHBe抗原陰性、HBe抗体陽性化のセロコンバージョンでは病気の進展については安心できないそうです。

また、B型急性肝炎後、HBs抗体が出て、HBc抗体のみ陽性でも(HBVは肝細胞内に残っている場合がありますので)、血液疾患の化学療法後などにHBVの再活性化がみられますが、その際の病状把握、悪化進展抑制のための早期治療開始予測判断に役立ちそうだとのお話でした。以上がブレックファーストセミナーの様子でした。

9時からのパネルディスカッション「B型慢性肝炎治療の新展開」は12人の先生の講演と討論でした。
長くなりすぎましたので、明日以降(?)、まとめ治します。ラミブジン中止時期、アデフォビル追加かエンテカビルへの変更か、HBV変異が一般臨床で検査できない範囲でどう診療ににあたるか、テノフォビルという薬の話など、多岐にわたりましたが、最後に座長が、「まだ、わかっていないことが多いのが実情です」と締めくくっておられました。

最後に先日、2周年記念にお花をいただいたと記しましたが、一部の写真を御覧いただき、再度感謝致します。ありがとうございました。

2周年記念お花1

2周年記念お花2

2周年記念お花3